学術論文等の即時オープンアクセス義務化

概要

令和6年2月16日、統合イノベーション戦略推進会議により「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」が策定されました。

この方針では「公的資金によって生み出された論文や研究データ等の研究成果は国民に広く還元されるべきものである」との考え方に基づき、学術論文等の即時オープンアクセス(以下、即時OA)を義務付けています。

具体的には、2025年度以降の新規採択分から、即時OA義務化の対象となる競争的研究費の受給者は、その研究成果である学術論文や根拠データを、学術雑誌に掲載後すぐに「誰でも無料でアクセスできるようにする(=オープンアクセスにする)」ことが義務づけられています。

対象となる競争的研究費

資金配分機関 制度名
日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業
科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(※)
日本医療研究開発機構(AMED) 戦略的創造研究推進事業
(革新的先端研究開発支援事業)
科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業

先端的カーボンニュートラル技術開発(ALCA-Next)及び情報通信科学・イノベーション基盤創出(CRONOS)を除く

義務化の対象となる研究成果

論文

電子ジャーナルに掲載された査読付き学術論文(著者最終稿を含む、プレプリントは対象外)

根拠データ

執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる研究データ(Supplemental Data等の公表を前提としているデータ)

下記のものは、「根拠データ」としての公開は求められません。

  • 査読の過程等で求められるデータ等、公表を前提とはしていないデータ
  • 従来公開していなかった研究データ

即時OA義務化を満たす公開先

即時OA義務化では、学術論文等を研究データ基盤システム(NII Research Data Cloud:NII RDC)上で検索できるようにすることで、誰もが自由に利活用できるようになることを目指しています。

NII RDCとは研究データのライフサイクルに即した情報基盤で

  • 管理基盤:GakuNin RDM
  • 公開基盤:WEKO3(JAIRO Cloud)
  • 検索基盤:CiNii Research

から構成されています。
東京農工大学学術機関リポジトリは、NII RDCの【公開基盤】に該当します。

NII RDC上での検索は、学術論文等を次のいずれかの方法で公開することにより実現できます。

  • 東京農工大学学術機関リポジトリでの公開
     学術論文の登録手続きはこちら
    根拠データ公開の正式運用は準備中ですが、機関リポジトリでの公開をご希望の場合はご相談ください。
  • NII RDCと連携している分野別リポジトリ等での公開
    検索基盤(CiNii Research)と連携しているデータベース一覧
  • Jxivや GRANTS Data(仮称、科学技術振興機構が開発するリポジトリ)での公開
  • 資金配分機関への実績報告に識別子(DOI)を記載
    学術出版社サイト等でオープンアクセスにした学術論文等は、その識別子を実績報告に記載することで、即時OA義務化に対応できます。

即時OAの実施が困難な場合

即時OAの実施が困難な場合、各年度の実績報告において理由を報告する必要があります。また、困難な理由が解消された場合は、速やかにNII RDC上への掲載が求められています。

即時OAが困難な理由の例

  1. 出版社や雑誌のポリシーでエンバーゴの規定が存在

    多くの出版社では、エンバーゴ解除後に「著者最終稿」のリポジトリへの公開を認めています。

  2. 出版社や雑誌のポリシーが存在しない又は不明瞭
  3. 既存の研究費を圧迫しない範囲での転換契約や APC 支払いの活用が困難
  4. その他 ※実績報告では理由も記述する必要があります。

即時OA対象か迷ったら…

下記チャートの青枠で囲われた学術論文及び根拠データが即時OA義務化の対象です。

oa-chart

参考資料